食事の挨拶である「いただきます」と「ごちそうさま」を、皆さんはしっかりと口に出していますか? 日本ではおなじみのマナーの1つなので、しっかりと気持ちを込めて言いたいものです。その中でも、食事が終わった際の感謝の気持ちを示す「ごちそうさま」という言葉にスポットを当ててみたいと思います。
ごちそうさまの意味
「ごちそうさま」は漢字で御馳走様と書きます。馳走の本来の意味は「走り回る」ことであり、言葉そのものは中国の古い歴史書・史記に記されていたものです。それが日本に伝わった際に、「走り回ってもてなす」ことに転じ、さらに江戸時代頃に食後の挨拶となりました。昭和時代に定着した食前の挨拶「いただきます」よりも、歴史は古いのです。
現在の「ごちそうさま」は、ご存知の通り食後の感謝を表す言葉であり、また日本における基本的なマナーとして広く認知されています。お店で食事をする際にも、最後に「ごちそうさまでした」と一言加えるだけで、応対するスタッフにも喜ばれます。子どもたちは親や大人のマナーを意外と観察しているので、まずは自分から変わることを意識しましょう。
ごちそうさま、のその後で
食育アドバイザー講座では、食べ物が食卓に届くまでの過程や地産地消のすすめ、皆で一緒に食事をする「共食」の重要性を学ぶことができます。「ごちそうさま」の後、すぐに解散するのではなく、ちょっと一呼吸置いて食事について考え、そして話し合ってみましょう。
「今日は○○産のイチゴだから、すっごく甘くなかった?」「今日のお刺身は、身が締まってて、いい味がしたね」などなど。ここでは鮮度を例に挙げましたが、産地や風味、料理のルーツはもちろん、あなたが自分で見出した調理のコツなども、実は食後の会話のタネになるのです。
こうしたコミュニケーションは、子どもの“考える力”にもよい影響を与えますし、食卓が楽しい雰囲気のものであれば、「食」にまつわる知識やマナーなどを積極的に吸収するようになります。
食に関する基本的な知識は、食育アドバイザー講座で学ぶことができます。ただ、有害物質や食品添加物の話などは、子どもが極端に「食べる」ことを怖がってしまう可能性があるので、まずは産地や食文化、栄養について話してみましょう。
「ごちそうさま」という言葉には、食材を作ってくれたことへの感謝、調理してくれたことへの感謝など、食にまつわること全てへの感謝が含まれています。その感謝ひとつひとつの意味を知り、そして一緒に食について考えることこそが正しい食生活を身につけるための第一歩なのです。