文字の練習を始めて、お手本を見ながらどんなに頑張って書いてみても思うようなきれいな文字が書けないときには、頭の中で描いている文字が崩れているのかもしれません。
書きたいと思っている美文字と頭の中のイメージが違っていることが原因で、上手にきれいな字にならないことがあるのです。
頭の中にある文字ってどんな形をしているのでしょう
自分が頭の中で思い描いているものが、今見ているものと全く同じとは限らないことがあります。
見ながら絵を描く時には写し絵のように大体のバランスを整えて描くことができます。しかし、旅先で見た素晴らしい景色を家に帰ってから、絵に描こうと思うと覚えている印象が無意識のうちに少しくずれてしまっていることがあります。
実はこれは文字にも言えることのようです。
自分が書く字は、毎日のように見る字に似てしまうのです。
では毎日見る字とはどういう字でしょうか。
それは自分がいつも書いている自分自身の字です。
しかし、お手本を見て書くと、お手本をまねることに集中するので自分で思っている以上にうまくかけます。
一方で、お手本を見ないで書いた字は意識をしていても自分のくせが出てしまっています。
お手本をイメージしている気持ちになってはいるのですが、実際は自分の文字が頭に浮かんでいて美文字のお手本ではなく、いつも通りの文字を書いてしまっているのです。
脳内文字を見直そう
こういった頭の中にイメージした文字のことを脳内文字と言います。
脳内文字の崩れは、きれいな文字を書けないことの根本原因のひとつと言われています。
言葉を聞いてイメージした文字が本当に書きたいと思っている美文字とかけ離れてしまい、自分の癖のある文字に戻っているのです。
これではいくら練習をしてもなかなか上達を感じることができません。
実際に文字を書く時には、お手本があってそれを見ながら書くわけではないので、頭の中にイメージされる脳内文字をいかに美文字に近づけるかが重要になってきます。
まずは自分がうまくお手本のような美文字を思い描くことができるかを考えてみるといいでしょう。
そのためには、自分の脳内文字とお手本とはどこが違うかを具体的にチェックしてみて、少しずつ脳内文字の崩れを正常にもどしていくことが大切です。
整った脳内文字にする方法
美文字の練習は、とにかくお手本を見ながら書くことが大切です。
お手本に近い文字が書けるようになったら、今度はお手本を見ないで書いてみます。
そうすると、お手本を見ながら書いた文字とは異なる文字になってしまいますので、その違いをお手本と見比べてみます。
少しずつ文字を修正しながら、自分が頭に浮かべる脳内文字自体を美文字に変えていきます。
このサイクルを美文字の練習中に何度もまわすことで次第に脳内文字が自分の書きたい美文字に上書きされてきます。
脳内文字の崩れが少しずつ改善されてきて、書きたかった美文字が頭に浮かぶようになってくる頃には、お手本がなくてもお手本のような美文字が書けます。
頭の中も美文字にしよう
頭の中にある文字のイメージである脳内文字を自分が一番書きたい文字に少しずつ改善して定着させることで、お手本を見なくても美文字がイメージされ、崩れることなく実際の文字を書くことができるようになります。
どんな文字を書きたいか、どこに自分の癖があるのかを常に意識しながら練習の手を動かしてみるのが美文字への早道ですね。