牛乳や乳製品にはカルシウムやたんぱく質、ビタミンB1などがバランスよく含まれていて、幼児の栄養補給としてかなり利用価値が高い食品です。
しかし、これらは幼児アレルギーを発症しやすい食品の1つでもあります。今回の「幼児食インストラクター講座」で、幼児の牛乳・乳製品アレルギーについて対処法や調理の工夫などを学習したのでご紹介します。
牛乳・乳製品アレルギーの特徴
牛乳や乳製品を摂取して、皮膚や呼吸器、粘膜、消化器にさまざまな症状が出た場合は、牛乳・乳製品アレルギーの可能性があります。その場合の対処法として、直ちに牛乳や乳製品を含む食事を摂取しないようにすることが大切です。
牛乳・乳製品アレルギーの多くは、牛乳たんぱくの中の「カゼイン」が原因になっています。カゼインは耐熱性があるため、加熱してもたんぱく質の構造がほとんど変化せず、鶏卵のように加熱することでアレルギーが起きなくなるということはありません。
チーズやヨーグルトに発酵させてもカゼインの性質には変化がなく、加工食品の場合でも注意が必要です。このアレルギーになると牛乳からカルシウムが摂取しにくくなるため、カルシウム不足が心配されます。幼児の成長に必要なカルシウムを効率良く摂取するには、カルシウムの多い他の食品から積極的に取るような工夫をしましょう。
加工食品を食する場合の注意点
牛乳(乳製品)を含む加工食品はかなり多く、加工食品を食する場合は袋や箱の裏に表示されている原材料を必ずチェックするようにしましょう。
牛乳を含む加工食品の例として、ヨーグルト、チーズ、バター、生クリーム、全粉乳、脱脂粉乳、一般の調整粉乳、練乳、乳酸菌飲料、発酵乳、アイスクリーム、食パン、菓子パン、パン粉、洋菓子の一部、調味料の一部などが挙げられます。
乳化剤、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、乳酸菌などは「乳」という漢字が付いていますが、乳製品ではありません。乳製品は加工食品の表示が複雑なことが多いため、正しく表示を読み取ることが大切です。わからない場合は、食品製造会社や販売会社に直接問い合わせてみるといいでしょう。
牛乳・乳製品アレルギーの場合の調理工夫
牛乳・乳製品アレルギーの場合、牛乳の代わりになるような食品を使うなど、調理の工夫が大切です。牛乳、ヨーグルト、粉ミルクを取りたい場合は、アレルギー用ミルクで代用することができます。たんぱく質は魚、肉、卵などから摂取するようにし、カルシウムは小魚、ひじき、青菜などから積極的に取りましょう。
シチューやポタージュ、グラタンなどの料理を作る場合は、牛乳ではなくアレルギー用ミルクを使用し、バターはアレルギー用マーガリンが市販されていますので、それで代用することができます。食パンは牛乳(乳製品)が入っていることが多いため、注意が必要です。
牛乳、乳製品を使わないパン(フランスパンなど)を食べさせるようにしましょう。市販の洋菓子には、ほとんどのものに牛乳や乳製品が入っています。洋菓子を食べさせたい場合は、豆乳やココナッツミルク、アレルギー用ミルクを使って、手作りの洋菓子を作ってみるといいでしょう。
牛乳アレルギーでも大丈夫!フォカッチャを作ってみました
牛乳アレルギーの子どもでも食べることができ、カルシウムを効率よく摂取できる食べ物はないかと探してみました。そこで、見つけたのがフォカッチャというパンです。実際に作ってみましたのでレシピをご紹介します。
#フォカッチャの材料(15cm丸型4個分)
- 強力粉100g
- 薄力粉100g
- 塩2g
- 砂糖8g
- ドライイースト3g
- ぬるま湯120g
- オリーブオイル大さじ1
- トッピング材料(プチトマト、しらす、オリーブなど)
#フォカッチャの作り方
- 厚手のビニール袋に強力粉、薄力粉、塩、砂糖、ドライイースト入れてよく混ぜる。
- ぬるま湯を入れて5分ほどよくこねる。
- オリーブオイルを入れて、さらに5分ほどこねる。
- ビニール袋に空気を入れて袋をとじ、温かいところで生地が2倍くらいになるまで発酵させる。
- 生地が2倍にふくらんだら、オーブンを180度に温めておく。
- 生地を4等分に分け、それぞれを薄く丸い形にする。好みで生地にプチトマトやしらす、オリーブなどをトッピングする。
- 180度のオーブンで約20分焼く
今回の講座を学習してみて
今回の講座では牛乳や乳製品を食べることができなくても、他の食品で不足しがちな栄養素を補うコツを学びました。また、牛乳や乳製品の代用品もいろいろと市販されているので、これらをうまく利用すると調理の幅が広がることも知りました。
子どものアレルギーは消化能力が未熟なために起こることが多く、成長するに従ってアレルギーを克服する子もいます。それまでの間、牛乳や乳製品を除いた食材を使って、バランスの良い食事作りを続けることはとても大変なことだと思います。
「幼児食インストラクター」の資格を取得した際は、常に最新の食材や調理法を学んで、子どもの食事に困っている親たちの助けになるようなレシピを提供していきたいと思います。